甘味料コラム

なんで砂糖よりも甘いの?高甘味度甘味料の仕組みを“甘味受容体”から読み解く!

なんで砂糖よりも甘いの?高甘味度甘味料の仕組みを“甘味受容体”から読み解く! | 甘味料開発・選定ナビ

砂糖の数百倍の甘味を持つと言われている高甘味度甘味料。
なぜ、高甘味度甘味料にショ糖の何倍もの甘さを感じるのでしょうか。

今回は、ヒトが味や甘さを感じる仕組みについて掘り下げ、なぜ高甘味度甘味料に強い甘味を感じるのか、を科学的に解き明かしていきたいと思います。

<TOPIC>
1.ヒトが味を感じる仕組み
2.ヒトが甘味を感じる仕組み
3.高甘味度甘味料がショ糖の何百倍も高甘味度である仕組み

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ヒトが味を感じる仕組み

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ヒトが味を感じる仕組みは、食物の成分が舌にある味蕾(みらい)という器官で受容され、その情報が味神経を介して脳に伝達されることで生じます。

食物の味は5つの基本味 ― 甘味、うま味、苦味、酸味、塩味 ― に分類されますが、それぞれを感知する味細胞があり、食物の成分がこれに触れることで味物質と味覚受容体が結合し、化学的刺激の情報が脳へ伝達されます。

甘味は、この五味の中でも、ヒトが赤ちゃん時代から生まれ持っている、食べ物を美味しいと感じるための最も重要な味覚。

主に炭水化物の一種であるショ糖、ブドウ糖などで生じ、生きていくために必要なエネルギーを得ることができる味で、高甘味度甘味料もこの甘味のカテゴリーに含まれています。

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図1:味を感じるしくみ

ヒトが甘味を感じるしくみ

味蕾にある甘味を感じる受容に係る分子は2つあり、「T1R2」と「T1R3」と名付けられています。

この甘味受容体と甘味物質が結合することで、味覚神経を介して神経信号を脳に伝達して甘いと感じます。

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図2:味蕾にある各味覚受容体

驚きなのは、スクラロースやアスパルテーム、ステビアなどの高甘味度甘味料も、化学合成/天然抽出に関わらず、ショ糖を甘く感じるときと全く同じ甘味受容体「T1R2」「T1R3」と結合して甘味を感じているということ。

これらの高甘味度甘味料は甘いという共通点はありながら、分子量や化学的性質は大きく異なるのですが、結合する甘味受容体は同じ、というのが大変興味深いポイントです。

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図3:全く異なる分子構造をもつ甘味物質たち

たった1つの受容体で多種類の甘味物質が感知されている仕組みですが、このような多様な構造をもつ甘味物質をどのように識別しているのかについては、不明な点が多く残されていました。
しかしながら近年、この甘味受容体の構造が徐々に明らかになってきており、様々な甘味物質を結合することができる仕組みがわかってきました。

「T1R2」「T1R3」は非常に大きな細胞外領域を持っているのが特徴の一つであり、これが様々な構造の異なる甘味物質を、たった一つの受容体で認識できる要因の一つとされています。

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図4:甘味物質が甘味受容体の細胞外領域へ結合するイメージ

高甘味度甘味料がショ糖の何百倍も高甘味度である仕組み

それでは次に、なぜ高甘味度甘味料はショ糖の何百倍もの甘味度をもつか、という疑問について。
これは、高甘味度甘味料がショ糖の何百倍も甘い理由は、同じ甘味受容体「T1R2」「T1R3」であっても、高甘味度甘味料のほうがショ糖より強力に結合するため。

「T1R2」「T1R3」の細胞外領域にあるアミノ酸残基と強く結合できる構造を持っているため、高甘味度甘味料はショ糖に比べて著しく高い甘味度を示すと言われています。

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図5:ショ糖とスクラロースが細胞外領域に結合するイメージ

例えるなら、ショ糖がドアの鍵穴に「かろうじて合う」鍵だとすれば、スクラロースやアスパルテーム、ステビア抽出物であるステビオール配糖体などの高甘味度甘味料は「完璧に合う」鍵のようなもの。
ごく少量でも甘味受容体を効率的かつ強力に刺激し、脳に「強い甘味」の信号を送ることができるのです。

 

高甘味度甘味料が採用された食品の事例

最後に、高甘味度甘味料が食品に活用された実例をご紹介します。
高甘味度甘味料は甘味だけではなく、それぞれが持つ特性を活用することで、様々な食品の味作りに有効で、食の世界を広げる存在となっています。

高甘味度甘味料の活用でミルクティーの乳感と美味しさを向上

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ミルクティー製品を作るにあたり「砂糖の一部を置き換えて、乳感をアップさせたい」というご要望に対し、高甘味度甘味料の「ステビア」と「スクラロース」を採用しました。

ミルクティーに使用している砂糖の50%をステビアやスクラロースを配合したものに置き換えたことで、紅茶の風味を強調して乳感をアップ。ステビアの後引きの甘さを生かすことで、茶葉の風味の持続も向上させました。

 

>>ミルクティーの活用事例はこちら

高甘味度甘味料を駆使してヨーグルト飲料の風味増強

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ヨーグルトドリンクに含まれる液糖の一部を高甘味度甘味料に置き換え、乳脂肪が少ない場合の飲み口のボリューム感を補填しました。

持続する複雑な甘味をもつステビアによりコクと乳感を引き立て、アセスルファムKにより先味を補いながら全体のバランスをとることで、ボリューム感を増強させた飲み口のヨーグルトドリンクのご提案が可能になりました。

 

>>ヨーグルト飲料の活用事例はこちら

甘味料の採用に関するお問い合わせ

本記事では、ヒトが味や甘さを感じる仕組みから高甘味度甘味料がなぜ高い甘味度を持つのか、をわかりやすくご紹介しました。
今後も研究が進み、味を感じる仕組みがより詳しくわかってくると面白いですね。

<食品・飲料メーカーの皆様へ>

弊社では、高甘味度甘味料を中心に、常時30種類以上の甘味料製剤を取り扱っております。

甘味の付与だけではなく、それぞれの甘味料が持つ様々な特徴を活かし、商品の味作りをサポートさせていただきます。製造コストや原料調達などに関するお悩みも、お気軽にお問い合わせください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

*参考資料
一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC(2022年7月発行)味を感じる仕組み
独立行政法人 農畜産業振興機構 分子レベルで明らかになってきた舌で甘さを感じるしくみ https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001042.html
阿部啓子、味覚のしくみと甘味受容の分子論、J. Appl. Glycosci., 50, 341-344 (2003)
人工甘味料認識のメカニズムを解明 舌のセンサー役タンパク質 https://dm-net.co.jp/calendar/2012/017337.php
前橋健二、甘味の基礎知識、日本醸造協会誌、p.818-825、2011年12月
スクラロースの全てがわかるガイド https://chibanian.info/20240502-128/

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