植物由来の甘味料・甘草(カンゾウ)は産地によって種類が異なる!?食品や化粧品への活用事例もご紹介

「甘草(カンゾウ)」は、古くから漢方薬などとして親しまれてきた植物です。
その根に含まれる甘味成分は甘味料として、また食品以外にも実は化粧品や医薬品など、私たちの暮らしの様々な場面で使用されています。
この記事では、カンゾウの特徴について、また産地などの違いによるカンゾウの種類について、わかりやすく紹介していきます。
「カンゾウの概要と活用事例」を1冊にまとめた資料を無料プレゼント!
下記でご紹介する、カンゾウについて、食品・飲料・医薬品メーカーの企画・開発ご担当者向けに、「カンゾウの概要と活用事例」を1冊にまとめた資料を無料でダウンロードいただけます。
是非ダウンロードの上、商品開発にお役立て下さい!
甘草(カンゾウ)とは
甘草(カンゾウ)とは、マメ科の多年性草本で、乾燥させた根は古くから漢方薬として用いられてきました。
複数の種類がある中で、Glycyrrhiza属に分類されるカンゾウの根には、「グリチルリチン酸」と呼ばれる甘味配糖体が含まれており、砂糖の約200〜300倍もの甘味度を持っています。後を引く強い甘みと独特の風味が特徴です。
特に「塩なれ効果」に優れていることから、甘口醤油をはじめ、漬物、珍味、スナック菓子など、さまざまな塩性食品に広く使用されています。
また、主成分であるグリチルリチン酸には、抗アレルギー作用や免疫細胞の調節作用や肌の炎症を抑える働きもあるため、スキンケア製品や医薬品にも活用されています。
カンゾウ根の種類
カンゾウは植物種や主な産地、成分組成などの異なる種類がいくつかありますが、代表的なのが、下記で紹介する「スペインカンゾウ」と「ウラルカンゾウ」の2種類です。
・スペインカンゾウ/Glycyrrhiza glabra
中国の新疆(しんきょう)から中央アジア、トルコにかけての乾燥地帯に広く分布。
別名:ヨーロッパカンゾウ
・ウラルカンゾウ/Glycyrrhiza uralensis
中国の東北部から西北部、華北、そしてシベリアなどの乾燥した地域に分布。
別名:シナカンゾウ、チャイニーズリコリス
どちらも甘味成分のグリチルリチン酸を多く含み、食品添加物(甘味料・矯味剤)や化粧品、漢方・医薬品などとして広く使われています。
その他、野生種のカンゾウとして、東ヨーロッパや中央アジアに分布するGlycyrrhiza echinata、北アフリカ原産のGlycyrrhiza lepidota、中国西部・中央アジアにみられるGlycyrrhiza aspera、東アジアに分布するGlycyrrhiza pallidifloraなどが存在しますが、いずれもマイナー種のため商用利用は少なく、研究対象などとされているケースが多いようです。
カンゾウ活用事例
ここでは、カンゾウを採用した、弊社の甘味料開発事例をご紹介します。
魚介の風味とコクを向上させた塩辛などの発酵食品
「塩辛に使われる魚介のワタや肝の持つ独特の風味やコクを引き出したい」とのご要望を受け、ステビアとカンゾウを組み合わせて使用。
その結果、魚介ならではの複雑な風味と深みを一層際立たせることができました。
>>カンゾウを発酵食品に使用した事例はこちら
植物由来原料・カンゾウ(グリチルリチン酸ジカリウム)の化粧品メーカーへ向けた安定供給の実現事例
植物由来の甘味料カンゾウの根に含まれる「グリチルリチン酸ジカリウム」は、肌の炎症を抑える成分として化粧品に広く使われています。しかし、天候や栽培条件によって収穫量が変動するリスクがあり、化粧品メーカーからはBCP(事業継続計画)に基づく安定供給体制が求められました。
>>カンゾウを化粧品に使用した事例はこちら
甘味料の採用に関するお問い合わせ
本記事では、カンゾウの産地などによる種類についてと、弊社での実際の活用事例を併せてご紹介しました。
<食品・飲料メーカーの皆様へ>
弊社では、カンゾウをはじめとする、30種類以上の高品質な甘味料・甘味料製剤を、自社基準に基づいて常時ご用意しております。
それぞれの甘味料が持つ特性を活かしながら、商品設計に応じた最適なご提案やサポートをさせていただきます。ご関心をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
*参考資料
『原色和漢薬図鑑』(医歯薬出版)
『和漢薬百科図鑑』(鈴木昶 著)
『生薬学』(廣川書店)
CiNii Articles(国立情報学研究所)
J-STAGE